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セミナー

【レポート】人間塾2015年度第12回ヤングセミナー

2015年11月12日

人間塾 第4期生 羽田野綾乃
(早稲田大学2年)

今回のセミナーは、オーストリア出身で、現在渋谷の金王八幡宮に勤務なさっているウィルチコさんの講演でした。

日本人以上に日本文化に精通しておられ、現代に受け継がれる伝統や精神、ことばや文化についての話をお聞かせくださいました。また講演会後半は、ウィルチコさんへの活発な質疑応答が繰り広げられました。時折、センスの良いジョークで会場を湧かせてくださいました。

人間塾・ヤングセミナー2015:講演中のウィルチコ氏

講演中のウィルチコ氏

初めて日本を訪れた際に、他では見ることの出来ないような風景に感銘を受けたそうです。それは文化が廃れること無く、古いものが生き生きと残った姿でした。そんな日本の特異性に興味を持ち、勉強するようになったそうです。例えば足袋は1500年前に中国から伝来された親指の分かれていない襪(しとうず)というものが時を経て今の足袋の形になったと教えて下さいました。

このように日本人は外から入って来た物をアレンジするのが上手く、それは受け入れる力として現代にも継承されています。古代から現代まで脈々と受け継がれる存在として天皇が挙げられますが、これは世界を見ても類を見ないことであり、そしてその記録が現存し同時に残そうとする事も1300年以上の歳月を考えると非常に労力を伴う事です。このような精神は決して特別なものではなく、一人一人にも兼ね揃えられているものであるとウィルチコ氏は言います。ウィルチコ氏自身も、923年もの由緒ある神社で勤務なさっていますが、自分の使命を全うする熱意を、その講演を通じて感じました。脈々と続く伝統を止めてしまうという事は、自身の問題に留まらず祖先を否定する事だとおっしゃっていました。

いくつか質問が飛び交う中で塾生の「伝統を守る事は大変ではないか」という問いに対し、伝統を踏襲するヒントをくださいました。それは、物事は、変えてはいけないものばかりでなく、中には進化して行くべきものもある、ということでした。なぜなら今ある伝統的な神社も日本に当初からあったものだけを残し、外来のものを除いたとしたら、結果何も残らないという例をウィルチコ氏は挙げられました。すなわち、長い年月の中で、様々な要素が肉付けされて今の様な姿になったのだから、それを無理矢理剥がすなど不可能である。そして「伝統の中でどう振る舞うのか」については、勿論必要な技術や知識を身に付ける事は大前提であり、その神髄を知る事が大切である。個性は最初から存在するのではなく、技術や知識があってこそ初めて育ち、活きるということ。また、チャレンジする際の判断に必要な事は、これまでの経験や正しいと思われてきた知識を拠り所にするしか無いが、知識を得た時は代わりに何かを捨てるという方法ではなく、それらを増やすということが必要だとおっしゃいました。

人間塾・ヤングセミナー2015:熱心に聞き入る塾生たち

熱心に聞き入る塾生たち

現在、日本の中では唯一の外国人神職であり、まして異国の地での修行や努力には多くの苦難がおありだったと想像します。しかし、講演会ではそんなことは微塵も感じさせないお人柄でした。ウィルチコ氏は自らの運命を、何か自分では計り知れない力によるものと考え、全てを受け入れその使命を全うしようとなさる事に心を打たれました。私も現在大学で所属する組織での役割を考えさせられる良いきっかけとなりました。成長できる沢山の知恵を頂いたので、これからも実践していきたいと思います。