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心に響く 講演・セミナー集

迷い道、出口は人との出会いから~その4~

今どこ?って聞いたら、バークレーの近くの

教会にいるって言うんです。

なぜ教会に?と聞いたら、

彼はそこにいたった一部始終を話してくれました。

 

「僕、バークレーの図書館の軒下で寝ようと思って、

 敷いて寝るための段ボール探しに行ったんです。

 で、段ボール探してうろうろしてたら、

 Are you Japanese?って聞く人がいるんです。

 仲野さん言ってたでしょ、

 怪しい人は大体Are you Japanese?って聞くから

 絶対返事するなって。

 だから僕、絶対返事しませんでした。

 そしたら彼がね、Are you Japanese?って、

 もう1回聞いてきたんです。

 仲野さん言ってたでしょ、怪しい人は2回聞くって。

 だから、僕、さらに返事しなかったんです。

 そしたら今度は日本語で、怪しい者じゃありません、

 君日本人ですか?って聞いてきたんです。

 仲野さん、それも言ってたでしょ。

 本当に怪しい奴は必ず怪しい者ではありませんと言う。

 怪しくないって言うやつほど怪しいはずや!って。

 だから僕返事しないで無視してました。

 そうしたら、本当に怪しい者じゃないよ、って言われて、

 それで、僕がじーっと見ていたら、

 白川(※)という者ですがと名乗って、

 君、ここで何してるの?と聞いてきたんです。

 白川さんは、横浜から来た牧師の卵で、

 このバークレー近くの教会で牧師の修行を

 するために来ている方でした。

 で、その白川さんがバークレーの図書館で本を借りて、

 出ようと思ったら僕がゴソゴソしてるから、

 何してんの?って聞いてくれて。

 いや、実は…って、お金がなくってここで寝ようと

 思っていたことをお話ししました。

 すると、君、教会で皿洗いするか?と言われて。

 この2日間。ちょうど土日で、信者さんが来るし、

 ホームレスの人たちにもお食事をつくって配るので、

 君、全部手伝ってくれるんだったら呼んであげるって、

 言ってくれて。

 それで、僕、その人にアルバイトしますから2日間泊めて

 くださいって頭下げて、今、その人の教会にいます。

 2日間泊めてもらえるんです。きょうの夜も大丈夫です。

 これであさって日本に帰れます。」

という話でした。

 

彼はその夜、一晩中、白川牧師としゃべったんだそうです。

アメリカってこういうところだよって自分が経験したことを

いろいろとぶちまけて、牧師もいろんなことを教えてくれて、

そしてカリフォルニアのバークレーの地域性のお話を聞いて、

すごく面白かった、勉強になったようです。

そのとき彼の、18才の彼の口から出てきたのが、

「捨てる神ありゃ拾う神」という言葉でした。

「本当に、白川さんに出会って救われました。

 僕の人生で初めて、人への義理と恩を感じました。

 本当に心の底から手を合わせて

 ありがとうという気持ちでした。

 やっぱり、図書館の軒下に野宿はできなかった。

 怖かった。寒かった。心細かった。

 2日間あそこで寝ろと言われたら、

 それはもしかしたら、できたかも分からない。

 けれども、今、ベッドの上で寝かせてもらって、

 本当に、当たり前の生活がどんなにありがたいか

 っていうことを僕は知りました。」

そんなことを電話で話してくれました。

 

そして、最終日、白川さんにサンフランシスコの空港まで

送ってもらって、彼は、無事日本に帰りました。

彼は、その後、高校卒業認定試験を受けて、

国立大の医学部を終えまして、お父さんの跡を継ぎました。

今は、お父さんと同じく地域医療に燃えているそうです。

 

出会いがいかに若者を変えるか。

時には、一人旅も大事です。

時には、引き寄せて抱きしめることも大事です。

時には歯がゆい思いで、こちらは爪をかみながらでも、

見守り、まんじりともせず待つことも大事です。

その中で若者は育っていく。

それを見守っていくことが人間塾に与えられた使命です。

そして、そのときに行ってもいいんだよと背中を押す。

一人旅だけどやってごらんという勇気を与えるのが

人間塾の使命です。

頑張ったねと受け止めながら、良かったねと喜んでやるのも

人間塾の使命です。

そのようにして若者たちを育てて、世にお返ししたい。

そういう思いで、人間塾をやってまいろうと思っております。

 

本日はどうも有り難うございました。

 

(了)

(※牧師のお名前は仮名とさせていただきました。)