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心に響く 講演・セミナー集

迷い道、出口は人との出会いから~その2~

「仲野さん?」と、例の長男からの電話です。

彼のちゃんとした声を初めて聞きました。

前回は「ああ」とか「うう」しか聞いてませんからね。

「仲野さん、○○です。」って、

ちょっとハツラツとした声で電話してきました。

「ああ○○君?どうしたの?」って言ったら、

「あの、アメリカに行っていいって言いましたよね。」

と、いきなり電話で言うから、ああ覚えてたんだと思って

「言ったけど、まさか来ないよね?」と私。すると、

「1週間後に行きます、迎えに来てください。」って。

何月何日の何時、航空会社何々ですって全部言うんです。

「こっちの都合も聞かないのはあんまりじゃない?」

と言っても、

「来ていいって言ったじゃないですか。」との返事。

分かった、じゃあ、いいよっていうことで、

私も人がいいものですから迎えに行ったんです。

そしたらちゃんと来ましたよ。

小ちゃなスーツケース1つだけです。         

よろしくお願いしますってちゃんと挨拶するから、

挨拶できるの?って言ったら、できますよ失礼な、

とか言うんですね。

 

そして、リムジンバスに乗って私のアパートに連れて

行きましたが、いくらなんでも男の子を泊めるわけには

いかないのよって。嫁入り前の娘だからって。

…20年後の今も、嫁入り前の娘ですけれども(笑)

 

で、私のアパートの斜め向かいにあるビジネスホテル、

セントルイス大学の関係者だったら半額にしてくれる

ビジネスホテルを実は予約してたんです。

君は、あそこのビジネスホテルに泊まるんだよって

言ったら、ゴハンは?って聞かれて、

ゴハンのときだけ一緒に食べようねっていうことに

なったんです。

 

でも、

彼をずっとビジネスホテルに缶詰にするワケにもいかず、

これはいい加減なところで自立させなきゃと思いました。

で、次の日の朝まず彼を呼んで、

「君いくらお金持ってんの?」って聞くと、

案外持ってないんです。

1カ月アメリカに滞在するのに20万円だけ持っていました。

でも、ホテル代払ってゴハン食べて、

セントルイスにずっと居るわけじゃないから移動もして、

それからお土産も買って…20万円じゃ厳しいでしょうね。

普通であれば。30日以上いるわけですから。

計算しても1日何千円かのレベルでしょう。

ホテル代だけでも当時で4,000円くらいかかりますから。

ちょっとそれ、無理なんじゃない?と言っても、

大丈夫です、節約しますって返事するんですね。

 

それで、私は彼に言ったんです。

「君ね、ずっとセントルイスのビジネスホテルに

 居るわけにいかないから、悪いんだけど明日から

 旅行に行ってくれる?」

すると彼は「えっ。明日から旅行行くんですか?

セントルイスは2泊だけですか?」って不安そうに

言うから、私はこう言いました。

「うん。あのね、私、もう計画立てたの。

 まず、君は明日からニューオリンズに行くの。

 グレイハウンドバスに乗せてあげる。

 あれはね、一番お金のない人が乗るんだから、

 君、一番お金のない人の1人だから、あれに乗りなさい。

 で、私が送っていく。いってらっしゃいって見送る。

 夜食のサンドイッチもつくってあげる。

 だからそれを持って君は乗るのよ。

 明け方になったらニューオリンズの街に着いている。

 ニューオリンズの街で3泊泊まりなさい。

 全部YMCAに泊まりなさい。」

って言ったんです。

 

大体、YMCAってバスターミナルの治安が悪いところに

あるんです。そこに泊まってちょうだいって。

外で拳銃の音がしても、絶対外に出てはダメよって。

外にさえ出なければ拳銃の流れ弾に遭わないから。

拳銃の音がしたらちゃんとドアは閉めるように。

大体、鍵は3つ以上ついているから、全部するのよって。

1つだけだったらやられるよって言いました。

そしたら彼は

「そんな怖いところなんですか、アメリカって。」

って聞くから

「うん、特に怖いところ見せてあげようと思っているのよ」

って言ったんです。彼はお坊ちゃま育ちですから。

それでも「分かりました。行きます。」という返事。

荷物は私の部屋に置いておかせて、

私のリュックサックを貸して、3泊分だけ入れさせて

グレイハウンドバスに乗せたんです。                  

で、行きました。

 

着いたらコレクトコールしてねって言ったんです。

でも私もお金がないので1分以内に切ってね、

と頼んでおいたら、かかってきました。

「仲野さん着きました。大丈夫ですYMCA3階の5号室です。

 拳銃の音はまだしません。」

ガチャンって切られました。(笑)

(続きます)