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心に響く 講演・セミナー集

ジュニアの夢〜その2〜

今でもフライパンを振る姿が思い出されます

よく話を聞いてみると、ジュニアはミンダナオ島から逃げてきたということがわかりました。実父によって、大農園に数千円で売られたジュニアは、そこでひどい虐待を受けました。お腹いっぱい食べさせてもらうことと小学校に通わせてもらうことが約束だったのに、ことごとく裏切られた上に、ひどい暴力と暴言を浴びせられる日々でした。こんなところに居たらいつかは殺されると思った彼は、脱出を試み、一銭のお金も持たないままにミンダナオの港から船に飛び乗りました。その船が到着したところがセブ島だったのです。

神父さんの計らいで、教会の一角にあるセンターの台所で働くことになりました。私がジュニアに出会ったのは、彼の仕事の初日でした。そしてその後約一週間、セブ島を離れるまで私は毎日彼の作った料理を食べることになりました。今でも小柄な青年が台所に立ってフライパンを振っている姿が思い出されます。

このような交流は、当時大学生であった私にとって、非常に大きな精神的成長を与えてくれました。日本という恵まれた社会の中で生きている学生たちが、自分の足元をもう一度見つめ直し、自分にできることは何か、自分がしなくてはならないことは何かを真剣に問う機会となりました。19歳だった私は、このような体験をもっと分かち合えたらいいなと思い立ち、フィリピンを支援するサークルを大学で作ったんです。長い年月の中で、そのサークルはやがてNGOになり、大学生だけではなく、多くの社会人もかかわる団体として今も健在です。また数年前から、私は再び関わるようになりました。

(続きます)