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心に響く 講演・セミナー集

ジュニアの夢〜その1〜

大学時代、情熱を注いでいた活動の一つが、フィリピンのスラム街への体験ツアーでした。今から30年も前の話ですが、現地に行って、実際の生活を見せて頂く。子どもたちと遊んだり勉強を一緒にしたりという、子どもたちとの交流プログラムもありました。今からご紹介するのは、セブ島でのお話です。当時、私が泊めてもらっていたドン・ボスコ・センターの宿泊施設も簡素なベッドが一つ置いてあるような所でした。ある日のこと、朝起きて食堂へ下りていくと、11〜12歳の男の子が料理をしていました。

彼は、はだしのまま着古しのTシャツ。本当に貧しい姿をしていました。昨日は居なかった少年が、今朝は台所にいる。驚いた私は、「あなたは誰?」って聞いたんです。そうしたら彼は、「ジュニア」って言ったんです。私は「何をしてるの?」と尋ねましたら、「クッキング」と答えます。彼は英語がとても下手でした。片言だけの会話です。「あー、学校に行っていないんだな」と私は思いました。

しばらくすると朝食が出てきました。大変上手に料理をしてくれまして、美味しくいただきました。私は彼に興味が湧いてきましたので、「どこから来たの?」と聞いたのですが、ただニコニコ笑っているだけです。年格好は11〜12歳に見えましたが、背丈は大変小さかったです。

そうこうしているうちに、お世話になっているセンターの担当者のレジーナさんがやってきました。私はすかさず尋ねました「この子、どこから来たのですか?」と。レジーナさんは笑いながら、「実はね、教会の神父様が今朝港から連れてきた子なのよ」と言うんです。彼女の話によると、その日の朝早くに神父さんはセブの港まで友人を迎えに行かれたそうです。すると一人の少年が港をウロウロしている。見るからに浮浪児。おまけに無銭乗船をしていたようで、キョロキョロしながら何かから逃げているように見えたそうなんです。神父さんは状況を察して、その男の子を保護して教会へ連れ帰ったのです。この少年がジュニアでした。

(続きます)